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3つの恋のお題 その2【BA】

2011.08.13 *Sat
ブラアロへの3つの恋のお題

眠りにつく前に/ただ傍に居てくれたらそれだけで良かった/来ないならこっちから


2.『ただ傍に居てくれたらそれだけで良かった』


アーロンにとってのブラスカは、父親であり、母親であり、兄であり、そして主人であった。
物心ついた時から一人だったアーロンに愛情を教えたのはブラスカだったし、人としての生き方を示してくれたのもまたブラスカだった。まだほんの子供だというのに頑なに心を閉ざし、物事に対しての関心が希薄だったアーロンはブラスカの根気強い優しさを通して喜怒哀楽を覚え、尊い命が織り成す世界の美しさを知った。
「その、ブラスカ様…ていうのいい加減やめないか?」
私は様なんてつけてもらえる人間じゃないよ。それになんだか一気に老けてしまった気分になるじゃないか。
事あるごとにブラスカがそう窘めても、アーロンは「ブラスカ様」と呼ぶことを止めなかった。幼いながらも小僧として使用人以下の扱いを受けてきたアーロンに尊厳をもって接してくれたブラスカは、生涯この人の元に仕えたいと思うに値する人物だった。
ブラスカと出会ってからのアーロンの人生はブラスカ無しでは語れなかったし、その先もずっとブラスカと共に歩んでいけるものだと思っていた。ただ、ブラスカの傍にいられたら、それだけで満足できるはずだった。あの日までは。

アーロンがもうすぐ18になろうというある日、ブラスカは一人の客人を連れて帰宅した。特徴的な瞳を見てすぐにアルベド族であることが見てとれたその女性は美しい容姿をしていた。
「彼女と結婚しようと思うんだ」
ブラスカからそう聞くまでもなく、二人の視線の交わりは恋人同士のそれであることがアーロンにもわかった。
おめでとうございます。祝福の言葉にありがとうと綻んだブラスカのはにかんだ顔を見て、自分の胸が酷く痛むことに気付いた。
ただ傍にいられたらそれでよかったはずだった。ブラスカの幸せを一番に考えていたはずだった。
それなのに自分は彼の幸せに傷つき、心から良かったと思う事ができないばかりか捨てられた犬のような気持ちになっている。
アーロンは度の過ぎた想いをブラスカに向けていた自分を思い知った。気付いてしまえば二人の傍にいることは無理だと思えた。
気にせずここにいていいんだよ、と言ってくれるブラスカの気遣いが逆に胸をえぐる。
ただ傍にいられたらと願ったはずのアーロンは、18の誕生日を迎えた後に自らブラスカの元を去り傭兵になった。

あれから7年。休暇の際にブラスカの家を訪れると、新しく家族に加わった娘を交えた三人はアーロンのことも家族のように迎えてくれたが、その度に苦々しい思いを抱えて帰路についた。
自分を暖かく受け入れてくれる人達を、昔から何一つ変わりなく接してくれるブラスカを、裏切ってさえいるような己が憎かった。
想いを振り切るように日々の鍛練に打ち込んだおかげで、アーロンは若いながらも傭兵として一目置かれ部下を束ねる立場にまでなっていた。
シンに町が襲われた後にすぐブラスカの家に向かえなかったのはそのせいでもある。立場など投げ捨ててでも駆け付けたい気持ちはあれど、部下は多数負傷し、同僚は町の立て直しに尽力している。
困っている人間を見捨てることなどブラスカに育てられたアーロンに出来るわけがなかった。

ようやく駆け付けたブラスカの家で、アーロンは愕然とした。あれだけ穏和だったブラスカの顔は頬が削げ、湛える笑みからは生気が失われている。
天罰が下ったのだと思った。7年もの歳月、ブラスカの幸せを一番に願ってやれなかった自分のせいで、天罰が下ったのだと。
「君が謝ることじゃない」
そんな思いも知らずに笑いかけてくれるブラスカの言葉が余計に辛かった。
俺のせいです。俺があなたの幸せを願えなかったから。俺があなたを好きになってしまったから。
こんなことは望んじゃいなかった。傍にいたいと願いはしたが、こんなことをしてほしいと願ったことはない。
けれど、あなただけでも無事でいたことに心底安堵としている俺は、どこまで汚いのだろう。
請われてベッドに入ったとはいえ、あなたの悲しさや絶望の前でさえいまだあなたを求める俺は、どこまで卑怯なのだろう。
こんな自分を知ったらブラスカはどう思うだろう。裏切られた思いに傷つき、過ごした日々を思い落胆するはずだ。これ以上最愛の人が傷つく様など見たくない。
アーロンは浅ましい自分が引き起こすかもしれない可能性に恐怖を覚えた。長年捨てきれずにいたこの想いは、誰の為でもない、ブラスカの為に、捨てるべきものなのだと決意した。

おやすみと目を閉じたブラスカの顔をじっと見つめる。握られた手からゆっくりと力が抜けて静かな寝息が立ち始めた。
ブラスカ様。
もう一度、あなたの傍にいたいと願わせてください。
今度こそ、多くを望みはしない。俺の気持ちなんて踏みにじられていい。むしろあなたにはこんな汚い俺に気付いてほしくない。ただ傍に置いてもらえればそれで構わない。それが叶うなら、あなたが望むことなら何でもします。それくらいしかあなたに詫びる方法が、俺にはない。
緩んだ手を今度は自分から繋ぎ直す。触れることに罪悪感を伴いはすれど、今夜だけは放さずにいようと決めた。たとえ今はまだ捨て切れずにいる歪んだ想いが心の奥底に渦巻いていようと、この手は今夜ブラスカが望んだものなのだから。


………………………………………

『眠りにつく前に』のアーロンver。何の進展もございません。
ブラスカの結婚前からアーロンが一方的に好きな場合、アーロンは後ろめたい思いを抱えてるはず。
奥さん亡くなって今がチャンス!なわけはなく、逆にそれが楔になってブラスカへの思いは絶対に表に出してはいけないと思うようになる気がする。


前回書いてから思ったんだけど、ブラスカってアーロンのこと『君』って呼ぶっけ。『お前』だったっけ。忘れてしまった…。
間違ってたらすみませんorz
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