FC2ブログ

スポンサーサイト

--.--.-- *--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

コート

2007.11.24 *Sat
サイドテーブルの煙草の箱に手を伸ばして、思わず舌打ちする。
中身のないそれを片手でくしゃりと握り潰してくずかごに放り投げた。
「ヤニ切れちまったから買ってくるわ」
エアコンが入っているとはいえ、ベッドを出れば肌寒い。
脱ぎ捨ててあったデニムに足を通し、次いでTシャツを頭から被る。
シャツを羽織って財布を尻ポケットに捩込んだ所で声が掛かった。
「その格好で行くのか?外は寒いぞ」
アーロンは肘をついて上体を支える姿勢でベッドの中から見上げてくる。
肩を伝い垂れる黒髪の乱れが余計にけだるさを表しているようで、堪んねえな、と思う。
「車で来たから上着持ってきてねえんだ。自販もすぐだしダイジョーブだろ」
「リビングにあるコートを着ていけ。風邪でもひかれたら困る」
「心配してくれんのか」
ベッドの端に軽く腰掛け、片手でアーロンの頬に撫でるように触れた。
「自分の心配だ。あんたが風邪をひけば俺がうつされる確率が高い」
口角を僅かに上げて挑発的に笑う。
顎をくいっと持ち上げ生意気な口を唇で塞いでやれば、アーロンは素直にそれに応じた。
「じゃ、借りるぞ」
「ああ」
立ち上がりチラリと振り返った時には、アーロンは既に枕に顔を伏せていた。

上背は大して変わらないが、体格的にはアーロンの方が細い。
ソファーの背もたれに掛けられていたコートはアーロンにしては若干大きめで、オレの体にはちょうど良かった。
玄関のドアを開けると冷たい風が吹き込んできて、コートがあって正解だなと思う。
歩きながらもぶるりと身震いし、襟元を合わせて首を竦める。
――アーロンの匂いがする。
香水の類を使わない男だからそういう匂いではなく、かといっていわゆる「男臭さ」でもない。
今まで一緒にいてもそんな匂いに気付かなかったが、確かにそれはアーロンの匂いというべきものだ。
煙草の自販に辿り着いて財布を取り出す。
一枚一枚小銭を入れるのがもどかしくて札を入れたのは、寒いからじゃない。
早くあの温かいベッドに戻って、その匂いを確かめたかったからだ。
「変態」
くんくんと鼻を近付けて匂いを嗅げば、アーロンはきっとそんな風に言って眉をひそめ、けれど楽しそうに笑うだろう。

戻ったらすぐに手を洗ってうがいをしよう。
決して甘えて見せない気丈な恋人に触れる為に。

………………………………………

ダッフルとかでもカワイイ>ジェクアロ
スポンサーサイト
CATEGORY : 365日のお題



Copyright © JSNO3(仮) All Rights Reserved.
テンプレート配布者:サリイ (素材:ふるるか) ・・・ 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。