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手編み

2007.11.12 *Mon
外の寒さに肩を竦めて家に駆け込む。
「外さみぃな」
「当たり前だろ、もう11月なんだから。コーヒー、飲む?」
リビングにいたティーダが飲んでいたマグカップを軽く掲げて見せる。
「おう。アーロンは?」
返事をしながら口元まで引き上げていたマフラーを外してソファーに投げその横に腰かける。
「今風呂入ってる」
キッチンに立ったティーダの元からすぐにコーヒーのいい香が漂ってきた。
「ん」
「サンキュ」
差し出されたカップを受け取り両手で包みこむように持つと、冷え切っていた手にじんわりと熱が戻ってくる。
向かいに座ったティーダが「あれ?」と声を上げた。
「そんなの持ってたっけ?」
ティーダが顎で差したのは放り投げたマフラー。
「ああ、コレか?ジェクト様ファンからのプレゼントだ。なかなかいいだろ」
自慢げに片手で持ち上げて見せると、ティーダは「見せて」と手を出した。
「この色欲しかったんだよな~。これ、欲しい!ちょうだい!」
「ダメだっつーの、オレが貰ったんだし、気にいってんだよこれ」
腰を上げ手を伸ばして取り上げる。
「ケチ」
ティーダがイーッと歯を見せたが気にしない。
「それってもしかして手編み?」
「らしいぜ」
再びマフラーを横に置いてコーヒーを啜る。
ティーダは未練がましくマフラーに視線を送っていたが、ふと何か思いついたように口を開く。
「それ、アーロンに見せない方がいいよ」
「なんでだよ」
「ヤキモチ焼くからに決まってんじゃん。他の奴の手編みマフラーしてていい気がするわけないだろ」
「アーロンが?…まさか」
ないない、と笑いながら手を振る。
アーロンがヤキモチなんて想像出来ない。
「オヤジってホント鈍感だよなぁ~、何にもわかってないんだから。そのうち捨てられるかもな」
「ハァ?どういう意味だよ」
ティーダの意味深な言葉に詰め寄ろうとしたその時、アーロンが風呂から出てきた。
「ジェクト帰ってたのか、おかえり」
「あ、ああ…」
話題の主の突然の出現にうろたえて、オレは思わずマフラーを体の陰に隠そうとした。
が、アーロンはそれを鋭く見咎めた。
「そのマフラー、初めて見たな。ジェクトのか?」
タオルで髪を拭きながら何とはなしに聞いてくる。
オレがわからないだけでこれも何気ない「フリ」なのか?探りなのか?
「…いや、コレはオレのじゃなくてティーダのだ。おら、ほっぽらかしとかねえで片付けとけよ」
慌ててマフラーをくしゃりと丸めてティーダに投げつける。
「わかったから投げんなよ!」
受け取ったティーダはムスッとした声音とは裏腹に満面の笑みを浮かべた。
「これ貰い物なんだけどスゴイ気に入ってんだ」
ティーダはアーロンの側まで歩み寄りわざわざマフラーを見せる。
「手編みのようだな。ファンからのプレゼントか?」
「まあ、そんなとこ」
ニッと笑うティーダが憎らしいがここは我慢するしかない。
するとアーロンはオレの方を見て言った。
「あんたもこれくらい貰えたらいいのにな」
…今鼻で笑った気がすんのは気のせいか?

愕然としたオレが我に返り猛烈に怒りが込み上げてきたのは、既にティーダは部屋に逃げた後だった。

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策士です>ティーダ
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