FC2ブログ

スポンサーサイト

--.--.-- *--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

紳士協定

2007.10.05 *Fri
夜の闇の中で赤い火がゆらゆらと生き物のように揺れる。
横で岩場に体を預けたブラスカは既に首をもたげて夢の世界に入っていた。
それを確認してから炎を挟んで向かい合っていたアーロンの隣へと回り込んだ。
「おめえを男と見込んで話がある」
低く押し殺した声でそう言うとアーロンは怪訝な顔を見せた。
「おめえ、ブラスカの事好きなんだろ」
「なっ…」
「まあいい、好きとは言わなくてもちょっといいなあ位の気持ちはあんだろ?」
反論される前に譲歩しつつ畳み掛ける。
顔が赤く見えるのは炎のせいだけではなさそうだ。
言葉に詰まったということを肯定と受け取って話を進める。
「そこでだ。協定を結ばねえか?お互い抜け駆けなしってことで」「抜け駆け?」
再び怪訝そうに眉間に皺を寄せるアーロンはイマイチ話の趣旨がわからないでいるようだった。
「一人だけ勝手にブラスカに手ぇ出さねえってことだよ」
アーロンはまじまじとオレの顔を眺めた。
しばらく何か考えていたように見えたが、やっと腑に落ちた様子で口を開いた。
「俺はそんなことをするわけもないが…そうすればあんたもおかしなことはしないということだよな?」
眼差しが鋭い。威嚇されているようだ。
「ああ。オレもコッソリ手を出したりしねえ」
「…いいだろう、その協定とやらを結ぼう」
「決まりだな。破るなよ?」
仕方がないといった様子のアーロンに右手を差し出すと、苦笑を漏らしながらアーロンもその手を握った。
「あんたもな」
握手を交わしたまま視線がぶつかる。
「オレは破らねえよ。絶対に」
言うが早いか握った手を軸に体を寄せて素早くアーロンの唇を奪った。
訳がわからなかったのだろう、アーロンは一瞬そのまま動きを止めた。
ここぞとばかりに啄むようにしてもう一度口付けると、さすがに我に返ったようだ。
「な、何をするっ!」
険しい表情で体を離そうと、握られた右手を振りほどきにかかるもオレはそれを離さない。
繋いだまま二人の間を交差する腕はオレにとっても邪魔ではあったが、同時に距離を縮める鎖にもなる。
「おめえに手ぇ出さないなんて一言も言ってねえし」
顔を近付けるオレに対し、アーロンは空いた左手で肩を押し返す。憎らしげに睨みながら。
「しかし何でこんな悪ふざけ…あんたもブラスカ様を好きなんだろう!?」
「ブラスカを好きだなんて一言も言ってねえ」
え?と一瞬怯んだ所にもう一度仕掛けようと試みたが、相手も必死だ。
「じゃ、じゃあ!何で協定なんて…!」
まだ理解出来てないらしいアーロンに教えてやる。
「おめえがブラスカに仕掛けねえように、ただそれだけだ。オレはおめえを落とせりゃいーんだから協定は破らねえよ」
愕然として今度こそ力の抜けた所で、オレはとどめとばかりに三度目となるキスを落とした。

………………………………………

これも策のうち
スポンサーサイト
CATEGORY : 365日のお題



Copyright © JSNO3(仮) All Rights Reserved.
テンプレート配布者:サリイ (素材:ふるるか) ・・・ 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。