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夜景

2007.10.01 *Mon
ブラスカが出掛けていて、珍しくアーロンと二人テーブルを挟んで向かい合う。
旅の最中に誓った禁酒も再会を祝して解禁され、今夜は二人で酒を注ぎ合う。
10年前の話は無意識のうちに避けられて、いまだに誰も口にしなかった。終わったことだ、今更何を話そうと何かが変わるわけではない。
しかし、その話題に触れないことが奇妙な距離感を生み出していることもまた事実だった。
10年前には若造だった目の前のアーロンも外見だけ見れば自分と変わらない姿となった。
10年前と気持ちは変わらない。それはあくまでオレは、ということで、アーロンの変化が外側だけなのかどうかは読み取れずにいた。
あの頃は感情のままに口にした言葉も、再会してからというもの胸の中に溜まる一方で、我ながららしくないと苦笑する。もちろん、やっと会えたというのに再会の抱擁以来触れることもままならない。
「ザナルカンドはどうだった」
だいぶ酒も進んだ頃にふと聞いてみた。
スピラ育ちのアーロンには驚きの世界だったに違いない。
酔いを感じながらテーブルにもたれるようにして肘をついて感想を促す。
「そうだな…」
言葉を区切り猪口に口をつけたアーロンはそれをクイッと飲み干した。
「この10年間、ひとつだけ良かったことがあるとするなら…あんたの生まれ育ったザナルカンドを見れたことだ」
驚いてまじまじとアーロンの顔を見た。多分、オレの口は開いたままだ。
「正直騒々しくて辟易した部分もあるが、夜景は綺麗だった。特に、あんたが迎えに来た夜は最高だったな」
懐かしむように瞼を伏せフッと笑みを零す姿に10年前のアーロンの言葉が蘇る。

『あんたの育った街がどんな感じなのか、見てみたかったな』

気付けばオレは立ち上がっていた。
ふらつく足に鞭を打ってアーロンの背後に回り、あの時と同じように後ろから座っているアーロンを抱きしめる。
「…相変わらず、可愛い奴だな」
そう呟いて短くなった髪に顔を埋めると、アーロンの手が回した腕に触れた。
「可愛いなどおっさんに言う言葉ではないだろう」
「いーんだよ。おめえはおめえなんだから」
「なんだそれは」
10年前と違って余裕たっぷりにくくっと喉で笑う。その姿も、愛おしい。
やっと本当の意味で再会を果たせた気がして、絡めた腕に一層力を込めた。

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一年前に書いた同じお題(※前ブログ)の10年後。よく覚えてたな自分!
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