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フロントガラス

2007.08.07 *Tue
予想外に道は空いていた。
夜の闇に所々テールランプの赤が浮かんでいる。
車に乗り込む際に「…すまん」とだけ口にしたっきり、アーロンは一言も口をきこうとしなかった。
ラジオからは場違いな程に陽気なDJの声が流れ続けている。
フロントガラスにはコンポの発する青い光と共にアーロンの疲れた輪郭がぼんやりと映る。
ハンドルを握る事で問い掛ける言葉を飲み込んだ。
「少し、寝ろ」
前を向いたままでそれだけ言った。
横を向くのが怖かった。
馬鹿げた話だが、数十センチ離れただけのその場所にアーロンが存在しているという確信が持てない。
幻影を乗せたような気がする程にアーロンから生気が感じられないせいだ。
車は水中を泳ぐ魚のように滑らかに進む。
どれだけの距離を不確かな空気を纏ったままで走っただろうか。
フロントガラスに映った顔が横に傾いたのを確認して初めて、助手席に視線を向ける。
薄闇の中青白いようにさえ見える寝顔を見てやっと安堵の息をついた。
何があろうと、側にさえいてくれればオレが何とかしてやれる。
傲慢かもしれないが、そう思いたかったしそうでなければならないと思う。
側にいないことには何も始まらないのだから。

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何があったのよ>アーロン
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